ぬかるみ小路に逸れる

文章の溜まり場所として使っていこうと思います(超不定期)

超断片②

夢で見たものシリーズ②

七福神とバスの落ちる夢

路線バスに母と乗っていた。久しぶりに乗るバスは後ろの二人掛けの席に乗る。

この路線バスは一度回転場に寄って一回ターンをするのであった。その際にバスは後ろを向いてバックするのだが冬場なら回転所の後ろは雪山が壁になっていたから少し後ろにズレても問題はなかったが、今はむき出しの石場で、後ろはすぐ川だった。少しでも荒い運転をして後ろにズレてしまったら川に入ってしまいかねない、これが流れの穏やかなときならまだいいが、雨の降って急流になったときの浸水のことを想像すると恐ろしくなった。

バスはこの回転場で回転して方向を切り替えるとまた、道路に戻った。
しばらくすると道路は登り坂に入ったように思った。車体が軽く斜めになった。
窓の外を見ると右には七福神の小さな石像が石段の間に飾られてある。段状になった石階段の下は河原であった。
七福神のいる河原」インスタ映え珍スポットとして最近造られたらしい。バスはそのまま正面にまで続いている石段を突っ切った。ガタガタと車内は揺れる。
防波堤のような石の衝立があってバスはそれに一旦引っかかったと思うと、突然飛んでそれを越えようとしたのである。しかし、バスの飛びはとてつもない高さであった。乗客はみな絶叫だった。バスはそのまま落ちる。
足先から重力の重さを感じて竦む。次第に身体が重たく震えた。下に落ちる。このまま落ちる。真下に突っ込むようにして落ちていくバスの中でいつ消えるのだろうまもなく消えるのだという小さな意識の中で死を感じた。
死ぬとはこういうことなんだろう。早く空中の中で意識を失いたかったが、意識はまだあって。
バスは暗闇の中に着地したのか、おそらく地面に落ちた。耳がガシャガシャとする音、重たい響きが身体に伝わる。
生きているのか、わからない。ただこれは恐ろしい夢だった。落下する感覚の死の臨場を感じ得た、と知覚するぐらいには恐ろしい重力の加圧された重たさだった。