ぬかるみ小路に逸れる

文章の溜まり場所として使っていこうと思います(超不定期)

断片①

ただそこだけ書きたかっただけの断片的な一節を置いてみる。(SSSショートショートショート的な・・・)


枯れ枝
以前あった手応えのようなものが光知子の手のひらから一気に崩れ落ち消えていくようだった。それは既に光知子の中から離れ消えていくように手のひらからたちまち流れ踊り消え、光知子の前にはほの暗い廊下が映るだけだった。ここで彼女は死んだ、今ここで私は消えた。
「だって何もないところから無理やり引っ張ってくるんだもの、そりゃ辛いよ」
いわば水のない土のないところで花を咲かそうとするようなものだと言うがものの例えが極端だ。
「「でもわたしはそうするしかないの、」」
誰の為にそうするのか、と問われれば自分のために。自分のためなのだ全ては。なのにとてもしんどくて辛くて泣きそうだ、心はとっくに折れているのだ、それでも無理やりしまって折れたのを隠し続けてきた。それが当たり前だった。
「優しく撫でておくれよ、うんと優しく」
茎は萎え錆びて花は黒ずんで、首折れたまましおれて凍えてふてくされたまま眠った。それからもう何年も起きていない。
「支えるんだ、もっと強く。」
朽ち老いた花を前にしてわたしには無理だと光知子は思った。ただ触るだけでもこぼれて散って消えてしまいそうなそれを支える力を光知子は持っていないのだ。



アルターエゴ
実りがないのに水を与え続けることの寂しさ、種を植えただけですぐには咲かない花にただ毎日水を与え続けていることに何の疑問も抱かないわけではない。いつ咲くのか、などとと思って毎日水をやることが楽しいわけでも決してなかった。
だけどこれはただこうすることでしかできなくて、だからわたしはやっているだけで。ひたすらに水を挿すことに外野から勤勉だとか豆だとかそう言われたいわけでもない。
花が見たいのだ、わたしはいつ咲くことも知れない、咲くこともないかもしれないその花が美しく咲いて綺麗だと誉めたいし皆に見せびらかしたいのだ。そういうエゴでわたしは、わたしが認められ称賛されるように心の中に僅かに残る捨てきれなかった夢を見て毎日小さな植木鉢の黒い一面に水をさしている。



草花系繋がりそうでつながらないという。
タイトルはだいたい適当に浮かんだものをつけてます・・・