ぬかるみ小路に逸れる

文章の溜まり場所として使っていこうと思います(超不定期)

2022-03-01から1ヶ月間の記事一覧

晩餐

空を見上げてみれば、宙に浮かぶ数々のプラントの影が私を差した。あのプラントには野菜や穀物などの植物性の食べ物から肉や魚までの動物性の食糧までが育まれていると教科書で習った。だがその食糧は直接私たちの食卓には上らなかった。一切の農薬を使わず…

おんな後書き解説

「おんな」について後書きのような言い訳のような 公募に応募した分はこれで終了になります、お読み頂きありがとうございました。 稚拙な文章もぐだぐだな構成も、超展開も改めて恥ずかしい限りです・・・。(加えて誤字脱字が結構あってますますヤバかった) 改…

おんな⑩

10クリスマス当日。仕事だったが、業務はほとんど雑談しながらの作業になった。 倉田は彼にプレゼントを用意するのに大変だと言っていた。 高岡はこどもの為のプレゼントを今年は奮発したと言っていた、夫にはささやかなものをサプライズで上げるという。イ…

おんな⑨

9 「はい、はじめまして」と挨拶で映った相手の男はまだ年も若そうに見えた。 髪色は明るく顔は一応No.2とだけあってそこそこに今時の若者らしく可愛らしい顔をしていた。私の顔と彼の顔が並んでいると私はなんだかやっぱり自分が惨めな存在のようになった…

おんな⑧

8 私は女性向けの出会い系のサイトを思わず見ていた。 表向きは出張ホストとあるが所謂女向けの風俗で追加オプションで料金を上乗せして払えばセックスも取扱う。 今はリモート出張中とあってどうやら今はパソコンやスマホのカメラを使って顔を見せ合いなが…

おんな⑦

おんな7 今年も上半期が終わり秋になると私たちの生活は突然一変した。 新型のウイルスが大流行を起こして私たちは直接人と出会うことを制限されたのだった。私の仕事はしばらくの間自宅ですることになった。リモートワークというやつで会社には原則として…

おんな前半終了

「おんな」について解説というか弁明というか 前半部分は一旦終了というか・・・ お読みくださった方、お目に留めて頂いた方、ありがとうございます。 これはもともと『女のR18文学賞』(だったかな・・・)というものに応募するのに書いたものでした。 原稿用紙…

おんな⑥

6この日は倉田と仕事上がりの時間が久しぶりに合ったので私たちは仕事場のあるフロアから一階のホールまで行く間一緒に帰って話をした。「ねえ、青山はもう結婚しないの?」倉田が唐突に聞いてきた。 「え、なんで」 「・・・いや、なんとなく」 倉田がこうい…

おんな⑤

5私はテレビを消した。スマホからお気に入りの音楽のプレイリストをスピーカーに通して家の掃除をすることにした。今日は仕事休みなのでゆっくりとできる。 私は休みの日でも昼前まで寝ないように気をつけていた。生活のリズムを崩さないためである、前まで…

おんな④

4何気なくつけていたテレビドラマは年下の男と行き遅れの年上女との恋愛模様をコミカルに描いていた。年下の男に迫られる年上の女は大抵仕事の出来るが恋愛はからっきしなキャリアウーマンばかりだった。私とは似ても似つかない。三角関係に発展しそうにな…

おんな③

3倉田と飲んだときのことを思い出していた。あれは3年前だったか、あの時は私もまだのんびりと考えていた。 倉田は昼間あんなことを言っときながらSNSにはいつも親しげにコメント残している男性がいるのが見えた。 しかもどうもプロフィールを見ると新卒2…

セルフ解説①

セルフ解説① 自分の書いた創作文の解説的なものです 「劇場」 とにかく小説的な文章は初めてなので・・・と思って手当たり次第に書いてみた。公募は短編で字数制限(6000字)があったのですが、あろうことか制限を4000字と勘違いして無理やりまとめてしまいました…

おんな②

2 「ウチの会社、やっぱイケてるって思う人いないよねえ・・・」 倉田が食後のコーヒーを啜りながら言った。倉田はわたしと同じ年で中途入社してきた同僚だった。 「顔とか表面上の良さ・・・とかじゃなくて、中身 が甘いわよね」 「うーん、そうねえ」と私は言葉…

フロート

そこはちょうど探し求めていたような楽園だった小鳥や小動物たちは懐いたように従順で木々は優しくさざめき水は穏やかに透きとおっていた。視界に入った木の赤く膨らんだ果実の甘い香りが漂ってきた。この島にしようと決めた瞬間だった。 もう島を探して途方…

おんな

1 「青山さんって、結婚してるんですか?」 と聞れるのは社交辞令だ。いや、お約束というべきか。 最近ではこういうことを聞くのも言うのもセクシャル・ハラスメントにあたるというが、こういう話題はある意味普遍的である故に慣習として残っている。誰でも…