ぬかるみ小路に逸れる

文章の溜まり場所として使っていこうと思います(超不定期)

師匠と弟子

疲れ果てたショッピングモール。ベンチに黒い影一つ。うなだれて困り果てている。アレが見えるのか、と師匠に言われてはい見えますと答えるとアレはあまりまじまじと見るものじゃない、見なかったことになさいと言われた。

師匠の言った通りにしてフードコートで休憩する。師匠は苺パフェ、僕はチョコパフェを食べながら師匠にさっきの黒いあれのことを聞いてみる。
「あれは、なんなのですか?」
「なんだと思う?」と質問に質問がかえってきたので、僕は師匠に内心腹が立ったがうーん・・・と考えるフリをしてせっかくの休日なのに妻子にせがまれショッピングモールに連れていかされた疲れ果てた中年男性ですか、と答えたら師匠に頭を小突かれた。
今時教え子の教育に手を出すなんて時代遅れ時代錯誤だなんて思いながらも。
「そんなわけないだろ、真面目に答えなさい。」師匠は厳しい口調で言った。でも、本当にわからない。
師匠はこの苺パフェ、もう少し苺入っていたらな・・・とぼそっと言ったのを僕は聞きの逃さなかった。
そのパフェ代800円は僕が出したんですよ、と思いながら。スプーンがパフェの器にチャキチャキ擦れる音を聞きながら師匠は「・・・あれはこの世に住まうものの成れの果てだ、決して人生に疲れた中年男性などではない」と言った。
僕は「この世に住まうものとは具体的には何なのですか?」と尋ねると「それは自分で考えなさい。」とまた丸投げされた。

じゃあ結局疲れた中年じゃんと思ったが、師匠には言わなかった。パフェを食べ終わったらもう一度あの場所を見に行こうと僕は思ったが、師匠は「もう一度見に行こうとしているだろう、やめておけ。」
と僕の心を見透かしていた。僕はそこで交換条件を出す。
「僕の残りのチョコパフェ、全部食べてもいいですよ。その代わりに僕はもう一度あれを見に行ってもいいですか」
というと師匠は何とも悩ましげに困った顔をした。
「・・・・・・そうまで言うなら見に行きなさい。これも経験だ。あれがどう良くないものなのか・・・おまえにもわかるだろう。」


(続きが思いつかないので途中もっと長いものにする予定:たぶん)