ぬかるみ小路に逸れる

文章の溜まり場所として使っていこうと思います(超不定期)

小話

もしこの世で会うとしたら

昔話の二次創作~のあれに応募してたやつ何もなかったのでここに載せとく 『もしこの世で会うとしたら』 寂れた一角、高架下は車が一台通るのがやっとな広さ。その手前に小さな押しボタン式の横断歩道がある。本当に少しの間で車通りも疎らなのでほとんどの…

おっさん異文カルチャー

おっさん異文カルチャー 「おっさんが世界を救ったっていいだろうが!」と一人のおっさんが叫ぶとおっさんたちはより派手やかでキラキラした衣装のセーラーおっさんへと変身する。そして侵略してきた長い触手のいっぱい生えたスライムみたいなエイリアンに向…

湯は万物の頂にて

「湯は万物の頂にて」 湯船の中に柚子を一つ浮かべて柚子風呂を楽しむ。といってもほとんどは柚子の入浴剤に頼ったから本物の柚子は一つだけ。見切り品で2つ3つ入っているのを買った。傷みの少なかったのは湯豆腐に入れて使い、残りはきゅうりと大根と人参…

urashima tarou

「urashima tarou」 鯛や鮃の舞い踊り。ここはどこの踊り場じゃ?これはすごい、とアッシュは思った。フロアが奇抜な色彩で埋められていく、光が踊り子を妖しく照らしだす。踊り子たちは奇抜な髪色で白や赤と青の半分混じった髪を左右お団子頭に整えて真っ赤…

竹のなく頃に

「竹のなく頃に」 学校行事で山に登るのは我が高校の毎年恒例の事だ。強制的な学校行事でなくとも私は山岳部に属していたので山に登るのは慣れていたのだが、慣れは慢心を起こす。もう3度目ともなると慣れたものだったが、その私の慢心が今日の事故を招いた…

狭間「沢の谷にて」

狭間「沢の谷にて」 小川で皆と遊んでいるとき、あにちゃんたちがあっち!なんかある!と言うので私とヒカルちゃんはあにちゃんが呼ぶ方に向かっていった。じゃぶじゃぶと川の中を歩いて進んでいく、流れは相変わらず緩やかで、底も浅いままだったが、だんだ…

お題「新しい生活と家族」

「No title」 「今日はブリザードが午後から吹き荒れる模様です、外へ出るのは午前の内に済ませておいたほうがよいでしょう」 スピーカーから流れるのは気象予報の音声だ。 「・・・今日もまたお天気悪いのね」 「エリカ、何か外に用事はある?あるのなら今の内…

師匠と弟子

疲れ果てたショッピングモール。ベンチに黒い影一つ。うなだれて困り果てている。アレが見えるのか、と師匠に言われてはい見えますと答えるとアレはあまりまじまじと見るものじゃない、見なかったことになさいと言われた。師匠の言った通りにしてフードコー…

超断片③

そうか、これが今の日本のスタンダードか。と久紀は感心した。 人々はみな前を向いて歩く、後ろから照らされた光が人間の前に影を作るので、人は影を追っかけながら歩いていくのだった。絶対に後ろを振り返ってはいけないと子どもの頃から口を酸っぱくして言…

短文⑤

「しょうどう」 適当に書いた 「あなたは変わりたい、変わりたいんですよねぇええ?!!!」教室内に怒声が響く。講師の男は私に向かってこう言った。 「あなたは自分から変わりたいと思ってウチに来られたワケなんですよねぇえ!?ならなんで拒む必要がある…

短文④

アンザレムは言いました。「おまえたちがいい子にしてたら最高のプレゼントをあげよう」子どもたちはそれを聞いて喜びました。それから子どもたちは毎日いい子でいるようにしていましたがまず、3人の子どもの中の一人アンジュが脱落してしまいました。 かれ…

短文③

「問答未定」犬も歩けば棒にあたるという言葉にある様に、わたくしも外を歩けばそういう輩に目をつけられる。ですので、わたくしは外に出るなどということは致しません。と御方はいうので、はぁ・・・と気の抜けた声が出た。貴女にはわからずまい、わたくしには…

節話

「花見」祭りは花見の見物客で賑わっていた。屋台のキッチンカーで買った牛肉コロッケを頬張りながら人の中に混じって花道を歩く。見ればみんな思い思いに屋台で買った食べ物を食べ歩きながら花の前に立ち止まっては写真を撮り、あるいは花見なんかそっちの…

短文②

「日より(幸あれ)」幼い男の子は父親に後ろに抱かれていたから父親の首の横からこちらに顔を向けていた。 男の子と弘子の目が合う。 男の子は笑いながらこちらに手を振った。私はそれを呆然とただ眺めていた。ほんの数秒の出来事だった。男の子の行動に男の…

短文①

夢で見たのをそのまま書いたラベンダーホテル海辺にあるそこはラベンダーなど生えてすらない、ホテルの外観がほんのりと紫色のラベンダー色だからラベンダーホテル。 寂れた港のようなホテルの裏側にある海の色は油のようなものが混じっていて妙にエメラルド…

晩餐

空を見上げてみれば、宙に浮かぶ数々のプラントの影が私を差した。あのプラントには野菜や穀物などの植物性の食べ物から肉や魚までの動物性の食糧までが育まれていると教科書で習った。だがその食糧は直接私たちの食卓には上らなかった。一切の農薬を使わず…

セルフ解説①

セルフ解説① 自分の書いた創作文の解説的なものです 「劇場」 とにかく小説的な文章は初めてなので・・・と思って手当たり次第に書いてみた。公募は短編で字数制限(6000字)があったのですが、あろうことか制限を4000字と勘違いして無理やりまとめてしまいました…

フロート

そこはちょうど探し求めていたような楽園だった小鳥や小動物たちは懐いたように従順で木々は優しくさざめき水は穏やかに透きとおっていた。視界に入った木の赤く膨らんだ果実の甘い香りが漂ってきた。この島にしようと決めた瞬間だった。 もう島を探して途方…

鳥は山に眠る

その場所は現在暗く奥深い山の中にポツンとある。 かつてここには古くから樵や炭焼を生業にした細々とした小さな集落があったのだが、ある時山の下の町から来た商人と役人が裏の山で金や銀が採れないかと調査を始めた所この見通しが当たった。裏山から手付か…

犬と夜のまち

ドッグはその市内で喫茶店を営んでいる。図体のでかいもの静かな男だが、彼の淹れるコーヒーは絶品だという声も少なくない。もっとも彼の店は個人店であるからそう言うのは皆、店の常連である。 ドッグの店はメイン通りから川で隔たれた通称旧道の一角にあっ…

ひみつ

乾いた風が身に堪える季節になった、雪こそは積もらないが冷える日の明け方には霜が降りていたり氷が張っていることもあった。ああ、もうこんな季節なんだと思った。12月は師走というがその通りで何かとイベント事が大詰めなで忙しい、特に月末。クリスマ…