ぬかるみ小路に逸れる

文章の溜まり場所として使っていこうと思います(超不定期)

すんごいどうでもいい話

自分が必ず入れがちなBL(二次とか含)の情景(特に具体的にアウトプットしてるわけではないので妄想の上の話です)・・・何でなのかわからないけれど畳のある家、木造建築家屋が好きなのでTHE・遊郭とか田舎の大きな日本家屋とか、そういうのがやたら出てくる傾向にある。民宿とか旅館とか少し鄙びた感じがあると良い。そういった情景に旅行させがちに。

とは別に外国のニューヨークとかパリにありそうな少し古めのアパートみたいなルームでパトカーのサイレンが鳴って雨が降る夜みたいなのも好き。なんか子どもの頃に見た洋画の映画のイメージがずっと残ってるような、あるいはバースという概念を作った伝説の某超自然ドラマのイメージだろうか(私はキャラ単萌えはしてたけどCP萌はしてない)

外国の(たぶん主にアメリカなのか)モーテルとかっていいよなって思う。SH3に出てくるヘザーが泊まるSHの街のモーテルの雰囲気最高すぎてあのイメージが抜けない。

なぜかよく出てきがちだった古のアラブBLはファンタジー的な砂漠の宮殿や街中のアラブっぽいもの(?)売ってる商店街みたいな雑踏とかは好き。(今だったらナイトプールとか超高層タワーとかインフィニティプールとかいうものが出てくるだろうか)

あと怪しいスポットみたいなのが好きなのでそういうのも想像しがちになる・・・。○ランドみたいな、あと古いアパートとか六畳一間などもグッと来る傾向にある・・・。地元の普通のお祭りもちょっと奇妙なお祭りも。(やっぱり和風)

CPによって晴天が似合うとか曇り空がいいとか雪が映えるとか色々あるけど、だいたいジャーニーさせてしまうな・・・。

ヴェネツィアのような水上都市とかオシャレな外国のテラスカフェとかそういう美しいのもいいけど上手く想像出来ない。難しいー。でもギリシャとかの白い家みたいなのと真っ青な海みたいなのは想像したことあったな・・・?

何が書きたいのかよくわからなくなってきたぜ・・・

自分の中の出がちなシチュエーション・・・と思ったのだけど最近は本当に和が多くなったなと思ってる。木と和が調和する(?)

しかし典型的な誰もいなくなったな孤島にある古びた洋館というようなミステリーサスペンスなのも好きだったりする。でも全体的に通じてるのは真新しい近未来の場所ではなく、ちょっと古びた年季のあるというという所の方が自分の心に来るポイントかも。近未来ってなるとサイバーなイメージが先行してしまって、ドーム状の建物の中で暮らす人たちとか・・・。そういえば実際にプレイはしてないけれどストレイの街の感じは良かったな。ああいう中国(香港?)っぽい伝説の九龍城とかの雑多な感じも好き要素ある。看板がひしめく感じがいいな・・・。

(これBLだとかに限らないな・・・)

もちろん南の島にある高級リゾートな施設とかも嫌いではないが(もしかしてあんまり金銭的余裕がないCPを好きになっている・・・?)出てくる頻度は低めかもしれない。突然脱線するけれど南の島の高級リゾート施設で思い出すのはさ○ぁ~ずの七つの海の・・・という深夜番組であれ今でも放送してるのか謎だけど、あの番組に出てくる宿泊施設は南の島のリゾートのイメージには結構いい番組だったと思い出す。プライベートプール付きのホテルとかコテージとか・・・特集してたな。

本当に何書きたいのかわからなくなってきたな。

で結局これって自分が行きたいなという場所に当てはめているだけなんじゃ・・・と思ってくるがそれもまた楽しければいいよなな・・・?気持ち・・・

変てこ句

なんか

去年のメモ漁ってたら出てきたのでこれ何か一言みたいなのに応募したものだった気がする。100文字だったか200文字だったか忘れたけどそれで話作れみたいな。

 

ジョギングで通りがかる墓の前に地蔵がある、見慣れたもんだがその日は違った。地蔵が黒い。不気味に思ってその日は引き返した。次の日、昼に行ってみると地蔵に供え物があったのに気づいた。虫だ、と気づいた。

鬼のように恐ろしい顔をしたという写真を見せられたが、怖くない。ありえない位置に人がいるという写真も怖くない。最後に見たのは彼女の美しい自撮りだった。彼女の為に拡散してあげるんだと彼は言った。

長い間使っていない時計が突然大音量で鳴りだした。電池も何年も前から替えていない。聞いたことのない音も立てて鳴っていたがその日以来音が鳴ることはない。
その日からちょうど十日後、祖父の一周忌であった。

変な詩歌、俳句?

踏み鳴らす怒声は我が部屋の前まで

延々とごまかす君の澄まし顔

目に見えぬ他の誰かの指先と

山の上に 飛ぶ黒い鳥の 軽やかさ
地面の上とは かけ離れた姿

送っていたやつ・・・バレンタインとかホワイトデーなどお菓子をテーマにした俳句?(全部何もなかったので供養)

ポケットに思い出一つ灯りの帰り道
届けるために急いで走った廊下の寒さ
溶かしてみたら雪の上のチョコレート
口に含みて言葉はいらぬ労り一枚
悩むは来月お返し選びに真っ白に

 

去年の某お茶に出したやつは向こうの基準で出したので載せるのは止め。

作詞(センス皆無な寒い詩)みたいなのも載せようか思ったけどそれは別項で上げたいからまた後に

気になるあれこれ1

何か何やら落ち着かなさがあるので向こうで記事書こうかなと思ったけどやめよう・・・ということでこちらでだらだら書こうかなと思うも、まあ内容がない。ので脈絡なく気になったものつらつら上げていこうかな。(配信実況で見て気になったものばかりのエアプ感想というイミフ)

もし検索で引っかかって目にしてしまった方がいたならすみません。見ても楽しくないです。ただの個人メモみたいなものです。

バイオのRE4、最新PS持ってないので実況配信ばっかり見てたのだけど見てるだけでも良リメイクだというのが伝わってくるように思った。バイオの登場人物たち未だに日本語で喋るの自分にとっては不思議なんだけども(某帝王・・・)見て聴いてるといいなと思ってきた。アシュリーも初めて公開されたとき別人だなとか思ったけど今はその別人さがいいのかもしれない、モデルの人が複数人いるけど顔のモデルの方が凄く可愛い。(オリジナルの4アシュリーは良くも悪くも天真爛漫すぎてイラッとしたのかもしれない・・・なんか隠れろと指示して箱に隠れてくれて出てきていいよと指示するとサザエさんみたいな出方しなかったっけ・・・?)オリジナルもサラザール城潜入前までしかプレイしてない私がいうのも何だが・・・。大岩とかのボタン連打QTEとかそういうのなくなってたのはいいなと思った。オリジナルのちょっとコミカルだった部分がいい感じにシリアスになったというか世界観に馴染んでる感じ・・・?(でも空耳はそのまんまで良かった)

あとリ○ナが好きな人にはたまらんかもしれないとか思った(不埒)イケメンの・・・?バイオの中で好きな男キャラとか言われたらオリジナルの2が好きなのでレオンかもしれない(唐突)女キャラはやっぱりジルさんなんだ(そこクレアじゃないのか・・・?)

なぜオリジナル2なのかってロケランの近未来デザイン感と研究所の新しいっぽい雰囲気が好きなのと警察署のメインホールとか図書館のBGMとかが好きなのだ。(・・・といってクレア表も二つの裏編もクリアしてない)

あとなんか謎の映画が夏に公開されるっぽくてなんかシリーズ主人公いっぱいいるのを見かけたけどレベッカがいる事に珍しい(?)とか思ってしまった。

ただのバイオ雑記になった・・・。

メグとバケモノっていう泣きゲーというものをほんの少しだけ配信見て知るmotherっぽい感じのグラフィックなゲーム。マザーシリーズいつかプレイしてみたいと思って全くプレイしてない(スマブラのイメージで止まってる)けど最近こういうドットのグラフィックが綺麗なインディーゲー(?)増えたなぁ・・・とか思う。大男と幼女とか題材から鉄板っぽい。しかも異種族で敵対してるとか?

 

ストレイって猫のゲーム、これも配信で見てたけど世界観が結構重たい感じだった。ただのんびり散策ゲーだと思っていたら・・・。わりとホラーっぽい部分とかあって・・・。人のいない(?)ロボットたちの居住区の街並みはそれぞれ造形が違うけど高低差とかが綺麗で凄いデザインの創造力だと思った。個人的に人のいない退廃的(?)世界ってフラジールさよなら月の廃墟を思い出してしまうけどあちらの孤独感よりはもっと未来的でブラックな感じがする・・・。こういうグラフィックの凄いゲームってどうやって造るのだろう・・・。

ファイアーエムブレム エンゲージ、これ発表後から情報追ってて(過去作品の推しキャラがいる)絶対プレイしようと思ってたのに全く買う機会を逃してずるずる来てる。DLC最後まで発表されたけどキャラデザ好みだなとか思った。プレイするなら全て込みになるなあ・・・。

同時にゼルダのティアーズも気になる。ブレワイやってないけど・・・ティアーズのクラフト機能が面白そうだと公式プレイ動画見て思った。そして3rdトレイラーを見たけど何かこうブレワイシリーズに対してわいてくる個人的な違和感みたいなのがあってそれが出てくるのは何故だろうと思ってフルボイスな所なのかなってなってきた。FEとかゼノシリーズとかのはそういう作品だからって思っているからだけど、ゼルダの場合なんか自分の慣れなさがあるんだなと、たぶん実際にプレイしたら全く逆の事を言ってると思うけど・・・。なんか抑揚や感情のついた言葉を強く感じてしまってストーリーのシリアスさに負けてしまうと・・・いやたぶん実際に動かしたら寄り道できたりするだろうし従来のゼルダ感もあるのだr・・・シリーズ全部プレイしている訳でもないのでただの食わず嫌いなだけなんだけど、何故自分の中でこの違和感が出てくるか謎だなと思っていった結果の話。ゲームの部分は動かすの本当に楽しそうだと思うので前作やらないでティアーズはプレイしたいと思うかもしれない。あの、公式CM見たけどもう来月なのか・・・というのと何かやっぱりフルボイスがこそばゆい感じがする・・・

ゼノブレ3のDLC、シリーズ未プレイで3が発表されたときにキャラデザにときめいたけどRPGにしては難しそうな操作と難解な設定ストーリーというのでやっぱり自分はそこまで・・・かなとか思っていたのだけど今回のDLCで発表された1と2の主人公たちのおじさん・・・もといイケオジな成長に驚く。続編ものってこういうのあるよな・・・とかいう謎のもの寂しさを覚える・・・。

 

黄色い部屋

夢の話とかそうじゃないのとかなんだら。

黄色い部屋

という夢があってこれは昔小どもの頃に住んでた団地の四畳半の部屋なんだけど(父親の部屋兼PCがあったりゲーム機があったのでいない間は遊んでもいいことになってた)そこに瞬く間に沈んだ黄色い光が差し込んできて部屋中が薄暗い黄色に染まるのだけど(曇りの日の夕方とかに黄色っぽくなることあるけどああいう色合いで)、何かが来るからそこから早く逃げないとヤバい!みたいに見えない何かに追われる夢。今はほとんど見てないけど引っ越し先でも見たし学生の時とかはわりと見る頻度が高かった。逃げないとパターンも見れば入り口は襖だったのだけど襖から入ってくるから襖を押さえないとってガタガタ何物かが開けようとしてくる襖を開けてくるのを必死で閉じて押さえていたバージョンもあった。この黄色い部屋っていうインパクトと概念は今でも残っていて今の家でも曇りの日とかの夕方で部屋とか外とかの全体が薄暗い黄色っぽい感じになると「あ、黄色い部屋だ・・・」って思う。何かよくわからないけれど感覚で嫌な感じと不気味さがあって私にとっては不吉な意味合いになっている黄色い部屋。黄色でペインティングされたパリピっぽい部屋とかじゃなくて光で薄暗い黄色みたいな色になるのがポイント、不吉な予兆って感じ。赤いヘヤって昔有名なFLASHっていうかなんていうかなサイトあったけど赤い部屋の夢とかそういう直接的なのはあんま出てこなくて、なんかようわからんけど黄色い部屋。

なんか嫌な印象で残ってる夢って今の家より子どもの頃の住んでた家のが多い気がする・・・。

あと学生の時の単位を

取り忘れていて本当は卒業出来てないんじゃないかっていう夢は今でも見る。(最近は減ったけど)高校と大学の2パターンがある。実際に目覚めて本当に卒業してないんじゃないかって思ってくるのだが、高校が単位足りてばいなら進学出来てないし大学がそうなら卒業証書はなんなんだとなるので夢だよなぁ・・・と思うのだけど一瞬焦る。というか○年以上も経っているのに未だにビビる・・・。

あとこれは毛色が違うけど配信者の方々が夢に出てくるようになったのはこれちゃんと配信を見るようになってるってことの自分の記憶の整理なんだなと思う。本当にいつも見ている人たちが出てくるのでこの二年ぐらいですっかり配信見るのが日常になったんだなあと思う。これはどちらかいい夢の方かもしれないけど何か本当に当たり障りなく日常の動作を夢で見てるだけって感じなので淡々としていていい夢寄りなのだろうけど・・・?っていう。

 

その子どもの時に住んでた家、小学生の時に住んでた団地か。古いオーソドックスな集合団地なんだけど特にいわくはないはずなのに今思うといやにお手洗いと洗面所とお風呂周りが気になって実際そこに関する何か違和感のある夢も見たな・・・。当時は普通に洗面所で水遊びしてたりしてたけど後ろにあるお風呂場から何か視線が気になるような時もあった・・・。そのお風呂場で母じゃない誰かがうつむきになって長い髪を洗ってる夢を見た時はさすがに怖かった。あとお手洗いに逃げ込むような夢とか、なんかあの部屋そういう曰わくつきではないし空き家が多かったわけでもない(住民も多く住んでた)のに嫌に気味の悪い夢を見るのは何でなんだろうな・・・。嫌な思い出が多い事に起因してるのかもしれないし小学生時代という年齢が特にそういう記憶を覚えているとかいう事なのかもしれないけど。

ご用心

変てこな創作物書くの何気に楽しいと楽しさを感じていたけど最近何も沸いて来ないばかりか創作物何じゃそれ?みたいな気持ちになって向き合いたくなくなる。ネタとか設定だけは一瞬浮かんでもストーリーには出来ないし考えるのも面倒くさい。去年一昨年の(特に一昨年)切羽詰まった謎の創作意欲みたいなのはどこから出て来てたのだろうな・・・。

空気霞んで煙たいけど湿度が微妙にあるのが不快度高い。黴臭くて埃のたまった部屋にいるような感覚、いや掃除しろって感じだろうか。掃除というか窓から入ってくる空気からしてそんな感じなので、一旦部屋の中床壁に水を撒いたらむずがゆさが取れるだろうか・・・?突拍子のない。

創作の源泉って何なのだろう。たぶん映画とか小説とか漫画とか音楽、絵画や芸術作品そういうの沢山見ていくのがいいんだろうなと思うけどそれらには作り手の想いが詰め込まれているから何か受け取る側に意欲とか意気込みみたいな意識がないと何か想い疲れしてしまう気がある。情報の氾濫というかワーッと話しかけられているような、なんかそういう気を私が勝手に思ってるだけなのだけど。でもこれってただ単に私が何事にも重たさを勝手に見出して1人であれこれあることないこと妄想してつらくなってるだけかもしれない。なんか何をするにも一つ一つの事に対して私は重たすぎるのかもしれない。

あと短気すぎるんだろうなとも思う。結果・・・というかちゃんとした形(自分の中の手応えみたいなもの)が見えてこないと投げ出したくなるというか、短気は損気とも言うが形を求めすぎるんだろうな・・・。

完全趣味の世界でも理想形みたいなのはあってやっぱり出来るならそれに近付けたいみたいな欲が自分を縛るというか・・・それで苦しくなってたら元も子もないのだが・・・

楽しいという範疇で納められれば、楽しいというとこで止まってればいいのだけど。変に負けず嫌いが引っ張ってしまって意固地になってしまうからそれをどれだけ砕けるか・・・が重要かもしれないなとか思った。

urashima tarou

「urashima tarou」

 

鯛や鮃の舞い踊り。ここはどこの踊り場じゃ?
これはすごい、とアッシュは思った。フロアが奇抜な色彩で埋められていく、光が踊り子を妖しく照らしだす。踊り子たちは奇抜な髪色で白や赤と青の半分混じった髪を左右お団子頭に整えて真っ赤なドレスで着飾って、ドレスには電飾が取り付けられているらしくパカパカと青緑白のライトが点滅している。袖の部分は余った布がひらひらとして後ろや前に宙に舞う。彼女たちのダンスはロボットのような規則的な動きで手足を動かしている、ズレがない。リズムはエレクトロニックミュージック。弾むような音色と水玉の映像とがシンクロしていく。これはジャパニメーション?ジャパニーズEDM!?非現実的でなんてクールなんだ!とアッシュは感動した。
「その名は竜宮城その名はRYU宮城」
合成された女の子の機械音声がリフレインする。
アッシュはヘッドホンの中で懸命に日本語を聞き取る。(RYU・・・GOJO?RYU-GU-JO?)彼の日本への「竜宮城」への憧れはこの時から始まった。

20XX年、成田空港と書かれた看板を写真に収めるのはすっかり年を取って白髪になったアッシュの姿だった。彼はやっと念願の日本に来られたのだ。あれから日本語を猛勉強して、日常会話どころか日本語で書かれたものを難なく読むことが出来るほど日本語に堪能になった彼は現在母国で日本語を教えるほどにもなっていた。
「(やっと、来る事が出来た・・・)」
彼は憧れの土地を踏みしめていた。今回彼が来たのは心に秘めた大きな野望を達成するためである。それがどんなに荒唐無稽な事なのか今のアッシュにはいやとわかっていたが、それが自分の人生の長年の夢だったのだからこの期にも諦める事はできなかった。
空港で会う予定だった彼とも合流出来た。
「・・・アッシュ・ミラー先生ですよね?お久しぶりです、上島です!」
「ウエシマくん!」
近付いて来たのはウエシマだった。彼は昔アッシュの元に留学してきた留学生で、彼から日本文化を学んだりもした。それから連絡を取り合うぐらい親密になった。今回彼には日本での諸々のコーディネートを依頼していた。
宿泊も彼の家で移動の車もウエシマが運転してくれるので、彼には大いに甘えさせてもらう。ウエシマもアッシュの夢を応援してくれているのだ。
「しかし、先生いよいよ来ましたね」
「ああ、私はとてもドキドキしているよ・・・」「見つかるといいですね」
「もちろん見つけるつもりだよ。竜宮城を」

日本に伝わる浦島太郎の物語はアッシュも嫌というほど読み聞いたので知っていた。
─昔々、浦島太郎という漁師がいて偶然虐められていた亀を助けたところ亀はお礼にと海の底にある城へ案内してくれた。そこには美しい乙姫という女王がいて地上では見たこともないような豪華なご馳走、見惚れる鯛や鮃の舞い、があって太郎は三日三晩もてなされた。
帰る頃になると乙姫は太郎に玉手箱の土産をもたせる。決して開けてはいけないと言われて地上に帰った太郎は辺りの景色を見て驚く。太郎が海の底にいる間、地上では数百年の時が経っていたのだ。太郎を知る人は既に誰もいない。太郎はその虚しさについに言い付けを破り玉手箱を開けてしまう。煙が彼を包むと太郎はたちまちにお爺さんになるのだった─
この話の中に出てくる海底の城こそがアッシュが夢見る「竜宮城」であった。つまり竜宮城は御伽噺の中のものであり、実在はしないのだということは日本語が読めるようになったアッシュを酷く落胆させた。だがそれでも諦めきれなかった。あの時見た竜宮城が夢の幻であったとは思えなかったからだ。
「それは歌のPVですよ。あの時日本で流行ってましたもの」
とは当時のウエシマも言えなかった。いやウエシマが言う前からアッシュは知っていたのだ。
あれが「おとぎ話」というアルバムの中の「URASHIMA太郎」という曲だという事を。日本国外への日本文化プロモーションを含めたプロジェクトで所謂、国外ウケを意識していたことも。現実的には夢のない話だったが、それでもアッシュには希望が一つだけあった。それは彼が日本文化に憧れながらまだ実際に日本へ訪れた事がないという事実であった。自分のこの目で見て確かめてみるまで足を踏み入れてみるまで、アッシュは竜宮城を諦める事はしなかった。
「トレジャーハントの気分だよ、この目で確かめるまで可能性はない訳ではなかったんだ」
「日本に来るまで可能性は二つあったという訳ですね」
「そう、”ない”ということも”ある”ということもどちらも存在することだと」
「玉手箱みたいなものですね、それは」とウエシマは言って二人で笑った。その夜はウエシマの家に行き彼の奥さんと大学生のお子さんに挨拶をして皆で食卓を囲んだ。ウエシマが自分が留学生の頃は逆にミラー先生の家にこうしてお邪魔になったというのでそういえばそうだと懐かしく思った。
明日は東京を散策する予定であるからアッシュは早めに床についた。

東京駅にて。ウエシマはこれから仕事があるというので駅で別れた。これが日本の通勤ラッシュと昔その細々とした様子を目にして驚いたが、実際言うほどではなかった。少し時間がズレていたからかもしれないが。彼(浦島太郎)は亀を助ける事で竜宮城に案内されたが、ここは都会のジャングルで亀のいる海とは程遠い。しかし東京にも海はないわけではないから、まずは海の方に向かってみようか?
電車に乗って歩いてみても、らしい場所は今のところない。アッシュは公園のベンチに腰掛けていた。日本は不思議な国だが、冒険は大変で初老の身体で闇雲に歩く事は疲れるだけである。
「(忍者、お殿さま、サムライ・・・アニメと色んな姿をした人がいたけれども・・・)」と思い返すのはやはり不思議な光景であるが、
「(あれはアニメーションのコスプレイベントなのだろう)」
と思うと、普段からその格好をしている人たちがいる訳ではないのだとわかる。日本ならもしかしたら、と思っていたアッシュは肩を落とす。
「(リアルは現実・・・夢はドリーム・・・)」飲もうとした水のキャップが勢いよく地面に落ちた。
「すみませーん!その子、止めて、くれま・・・!」
と突然大声がした。犬だろうか?とアッシュが見ると目の前には大きな亀が歩いている。意外と速い。アッシュは驚くよりたちまち動いて亀を止めようとする、甲羅を上から押して・・・と思っても亀の力は強くて振り回されそうになる。攻防している内に声の主が走ってやってきた。
「ハア、すみま・・・ソーリー。サンキュー!」
「いえ、ノープロブレム。それよりこの亀はあなたが飼っているのですか?」
彼はアッシュの流暢な日本語にホッとしたのか話し始める。
「飼ってるというか、預かってるみたいな・・・今夜必要なんです」
「・・・今夜?」
「ええ!あ、もしよければ来て下さい。これを・・・」といって渡されたのはバラバラの三、四複数枚のチケット。おい、何やってんだ!と彼の後ろから声がするとはい、と叫んで彼は亀を持って走っていった。アッシュはその場にただ呆然と彼の走って行った先を見つめていた。助けた亀につれられて・・・そんな事があるものか?

今夜は街でご飯でも食べようと言っていたので夕方、ウエシマとまた東京駅で待ち合わせる。日中の出来事を話すとウエシマはそれは物語の始まりだと喜んだ。
「先生、ちょっとそのチケット見せて下さい」と言われ差し出すとウエシマの声が大きくなった。
「この場所・・・もしかしたら竜宮城かもしれませんよ!」
「何だって!?」
「行ってみましょうよ!」そう言われてアッシュはウエシマとチケットに書いてあった場所に向かう事にした。
地下に入っていく扉の前に昼に出会った亀の青年がいた。
「昼間の・・・!来てくれたんですね」と彼はアッシュたちを歓迎した。
「お待ちしておりました、どうぞ」といって扉の中に案内されると、そこには──

深い深い地下への階段を下がっていくとシアターになっているようだった。暗闇の中、他の観客が数名いて、彼らは皆中央の壇上を見ている。パラ、パラと音がして何色カラーのライトがフロアを照らしだす。壇上のサイドにヒラヒラ衣装を着た女の子たちは左に右に回り規則的に舞い踊り出す。
「ようこそ、竜宮城へ」
というアナウンスが流れ中央から白煙とともに現れたのは華美な衣装に身を包んだ女性は乙姫さま。
「絵にも書けない美しさと言いましょうが、ここでは地上の時間など関係ございません。どうぞごゆるりとお過ごし下さい」
と彼女が言うと暗闇はカラフルな水玉模様のライトに照らされた。
これはあの時の・・・?とアッシュは思った。記憶の中に浮かぶのは初めて見たあの無機質な声。その声がフロア内に響いている。チカチカと点滅するライトに合わせて踊り子が規則正しく舞っている。
「その名はRYU宮城その名はRYU宮城」
その歌に歓声が上がり辺りは熱気に包まれる。疎らだと思っていた観客はいつの間にか大勢の人で埋め尽くされていた。

─電子の海に沈む時、私はある夢を見た。そこでは私は浦島太郎だった。私はそこで充実した日々を過ごしていたが、人はありとあらゆる美しいものに飽きる事があるのだろうか私はそろそろ地上に帰りたいと乙姫に言った。彼女は快く了承して私を地上に送ってくれ、一つのお土産も持たせてくれた。それがこの玉手箱である。だが彼女は決して開けてはならないとは言わなかった。それは海のくにからの贈り物だとだけ言ったのだ。
地上に戻った私はその箱を開けると、中から煙が出てきたのだ。この煙が─

「アッシュ!」と背中から誰かに呼ばれて振り向くとそこにいたのは姉だった。どいてくれないかという手振りで私を見る姉の姿に違和感を覚える。随分と若作りしているように見えた。
「姉さん?随分と若作りだね?」
「どういう意味?」
彼女は少し不機嫌になりながらもテレビをつけるとお気に入りのKーPOPアイドルに釘付けになった。彼らは随分と前のアイドルじゃないか?と言おうとしてアッシュは別の質問をしてみる。
「今って何年?」
「2022年に決まってるじゃない」
呆れた声で返ってきた声にアッシュは驚いて洗面所へ行って鏡で自分の姿を確認すると、彼の今の姿は竜宮城へ憧れを抱いたあの時のままだった。彼の首にかけたヘッドホンから音がする。
「その名はRYU宮城その名はRYU宮城」無機質に繰り返される歌声にアッシュは思わずにやりと笑った。

 

 

昔話の二次創作の公募に送った第二段。元ネタは浦島太郎。けっこう楽しく書いてたけどうまくまとめられなかったな・・・元ネタとは逆に老人から若者になるっていうような風にしたかったけど描写不足感が・・・。後成田空港に全く行ったことないのにわからないもの書くなよという怖さ。東京自体も行ったことないに等しいので細かいとこも含めて色々無理があったなと思う・・・。知らないものを知っているように描写するにはどうすればいいのだろう、って念入りな情報の収集だよなあ・・・。あと名前もアナグラムっぽくと思ってしてみたけど微妙になった・・・。

竹のなく頃に

「竹のなく頃に」

学校行事で山に登るのは我が高校の毎年恒例の事だ。強制的な学校行事でなくとも私は山岳部に属していたので山に登るのは慣れていたのだが、慣れは慢心を起こす。もう3度目ともなると慣れたものだったが、その私の慢心が今日の事故を招いたのだ。私は滑落したのだった、といっても命に関わる程ではなかったが、ぬかるんだ斜面の地面を滑って沢の下に落っこちてしまったのだ。
「すぐ戻るからー!」
同じ部の根子(ねこ)ちゃんが大声で呼んでくれる。先生を呼びに言ってくれている間、私は一人になった。私たちはいつも歩き慣れているからと皆が通る本道とは外れてちょっとした近道ルートを通っていたのだがその独断行動が痛い目を見た。後でこってり先生に叱られるだろう事を想像すると馬鹿な真似をしたと後悔したがもう遅い。
幸い足も手も折れてはいないようで、擦り傷くらいだったから動く事は出来たが斜面は急なので登る気力は出しづらい。その場で待つ事しかできない。
しかし、ここには竹が多く生えている。シーズンになったら筍刈りも盛んになるだろうけれど、こんな場所では命がけだろうな。
・・・と思っているとガサガサと後ろで音がした。音はどんどん近づいてきている。野生動物?猪?熊?どちらにしろ野生の生き物と対峙するのはマズい状況。それでも一応音のする方を向いてファイティングポーズをとっておく、構えはないよりしておいた方が役に立つ。
─来る!草藪が音を立て分かれた瞬間、私の目に写ったのは意外なものだった。
「あんれえ、まあ~」
と言う声がしたのは草藪の中から現れたお婆さんからだった。
「こんなところでどうした?」
私は呆気に取られる。人間が出てくるなんて想定外だったからだ、お婆さんは腰が曲がっているし白髪だからけっこうな年に見えた。
「あの、えっと・・・」
事情を説明するとお婆さんは私の擦り傷を見てありゃあと言ってから腰につけていた巾着袋から何かを取り出す。それは草のようなもの・・・でそれを私の腕の傷に擦り付ける。
「応急処置だけどね、これが消毒になるんだよ」
といってその仙人のような魔女のような佇まいに驚いたけれど最後は救急バンを取り出して私に貼ってくれた。
「私の家に上がっていきと言いたいけれど、先生が心配するかね」
「・・・あの、近くに住んでいるんですか?後でお礼にいかせて下さい」
「うん?いいけど。家は下にあるからね。こっから下だよ」
「あの林の裏手に見える住宅ですか?」
と尋ねるとそうだよと返ってくる。山に登る時いつも見えていた2、3軒の赤い屋根の住宅。あそこは全部一族の家らしい。その中でも大きな家がお婆さんの住む家。

後日お礼に参りますと言ってから2週間。私と根子ちゃんは山の入り口から裏手にある家の方に歩いていた。
「こっちの辺り実は初めて来た気がする」「私も」
元から住んでる方の土地だからって先生たちからはあんまり行かないようにと言われていた。その忠告通りにしていたものだから山から見えはするものの、実際に足を踏み入れた事は今までなかったのだ。
「ええと・・・一番大きな家がそうだって言ってたな」
軒を連ねる家々は所々煤けて傷んでいて皆人が住んでいないように静かで、廃墟のようだった。(本当に住んでるのかな?)とそれは失礼だなと思いながら一軒の玄関先を見るとバイクや軽トラが置いてあって、それらが使われている気配のするから少しホッとする。一番大きな家は一番奥にあって一番山に近かった。呼び鈴を鳴らすのに緊張して、そう言えば苗字を知らないと思った。
上にある表札を見ようと同時に「竹林って書いてある」と根子ちゃんが言った。
「たけばやしさん?」
「・・・だと思う」
(たけばやしさん・・・)呼び鈴を鳴らして竹林さんを呼ぶ。あの時はありがとう御座いました!とお礼を言う為に。チャイムの音が鳴っても反応はない。2回目ももう1回目押してもシーンとしてる。
「留守なのかな?」
「うーん」
時刻は午後3時半になろうとしている。諦めて帰ろうとするとタクシーが入ってきて止まった。
「あんら~?」
とタクシーの後ろのドアからいそいそと出てきたのは竹林さんだった。

「いいのいいの上がっておいで」
と竹林さんに促されるまま私たちはお家にお邪魔させてもらう。お菓子とお茶を持ってくるからと竹林さんは隣の台所に消えた。私たちは案内された居間にいた。古いけどどこか懐かしい匂い。居間は絨毯が敷いてあって炬燵があってテレビがあってソファがあって生活感に溢れている。建物は少し古いけれど中は広くて部屋がたくさんあって年を取った竹林さんが一人だけで住んでいるのだとしたら大変だろうなと思った。私たちはお礼を言いに来たのに何だか逆に図々しい感じだ。
「根子ちゃん、なんか逆に竹林さんに悪い感じになっちゃった」
「でも断るのも返って悪くない?」
私たちは好意を受け、またそれを返す難しさに思考を巡らせる。
すると竹林さんが「さあ、いいよお」
と急須とお菓子の乗ったおぼんを持ってやってきた。

やっと本題に入って私は助けて頂いた礼を言う。竹林さんは治ったのなら良かった、大事にならなくて済んで良かったと言ってくれた。
「こうやって長く私一人で住んでるとね、話し相手が欲しくなるんだ」
と竹林さんは言った。
竹林さんの隣家には竹林さんの親戚が出入りはしているけれど常に住んでいる訳ではないらしい。なので竹林さんは一人ここに住んでいるという。
「昔からここに住んでいたからね、離れられないもんだよ」
といって竹林さんは自分と結婚する相手に条件を出したらしい。
「夫になる人にね、婿になってくれって。苗字も竹林ってして、この家で一生暮らしてほしいって言ったんだ」
竹林さんは自分で言うのも何だけどと前置きしながら
「今はこう見えても昔は絶世の美人だってよく褒められたもんさ、男も随分と私の所に来たよ、でも」
「でも?」
「そのほとんどがここで暮らすってのをやがってねえ、都会で暮らしたいって」
昔は今よりもっと家の周りに木々が生い茂っていたようだった。そんな不便とも言えるような場所で一生を過ごしてほしいという竹林さんの願いは男の人たちからすると重たい条件だったのだろうか。
「皆根性がなかったんだ、ほとんどが私の見た目に釣られて来たやつらばっかだったんだあ、でもねえ」
といって竹林さんは目を細めた。
「一人だけ、一緒になってもいいよって人がいたんだ」
「じゃあその方と・・・?」
と根子ちゃんが食い気味になって言うと竹林さんは首を横に振った。
「せっかく戦争から無事に帰ってきたばかりなのにその人はまあ・・・振る為にわざと出した私の無理難題も叶えてくれたよ、甘味がほしいとか綺麗な服がほしいとか・・・」
そういった竹林さんの要求にも曇る顔も見せずその人は竹林さんの元へと贈り物を届けてくれたらしい。まるでかぐや姫の話みたいだと私は思ったが言うのはやめた。
「・・・でもその人には婚約者がいてねえ、それを振ってでも来るっていうんだけど断った。ずっと待ってた嫁さんに申し訳なかったんだ」
竹林さんはどこか切なそうな目をしていた。
「じゃあずっと竹林さんは一人で・・・」
「一人ってのも気楽なもんだあ、甥っ子たちもたまに手伝いに来るもんだしねえ、でもたまにはこうやって暇に思ったりするもんさあ」
といって笑う竹林さんの笑顔は柔らかく温かみがあった。ずっと一人で土地を竹林を管理してきた竹林さんの顔や手は日に黒く焼けていたけれど。
「あの・・・私たちもたまに何か・・・お手伝いとかお話しに来ても、いいですか・・・?」
私が竹林さんに言ったのは少々強引なものだった。あの時助けてくれて今回はお家に上がらせて頂いてお茶菓子まで用意してもらって私は竹林さんにしてもらってばかりで、私が竹林さんに何か役に立てる事がないのかと考えた上だった。根子ちゃんも隣でうんうんと頷いていた。
「・・・あの逆に迷惑かもしれなかったら・・・やめますけど・・・」
「迷惑じゃないよお。私の昔話にこうして付き合ってくれるのでも全然、逆にありがたいことだねぇ」
竹林さんの声が優しく響いた。何でだろう、竹林さんにはすごく惹かれるものがあった。恩返しというだけじゃなくてそれは竹林さんがずっと一人孤独にこの場所で生活してきた事への辛さとか寂しさとか悲しさとかそういうものなのかもしれないけれど、私の気持ちは竹林さんをこのまま放っておけないと思った。

「そろそろ日が暮れてきた、危なくないうちに帰りなさい。・・・また待ってるからねえ」「はい!!」
と二人で元気よく返事をした。
私たちは立ち上がって部屋を出ようとして電話台に置かれた写真が目に映った。
これって若い頃の竹林さん?セピア色の写真に写るのは着物を着た髪の長い美しい女性だった。目鼻立ちがはっきりとしていて今見ても美人だと通じる。男の人が幾度も求婚に来たのも頷けるぐらいで本当にかぐや姫のようだった。
「あんまり見るもんじゃないよお、恥ずかしい、大昔のだもの」
といって目を手で覆う竹林さんは今はしわくちゃなお婆さんだけれど・・・。
秋の夕方は暮れるのが早いから月の出るのも早い。月の光が煌々と道を照らす。
「・・・今日は満月なんだ」
「そうだよ。この時だけは私も月に帰りたく思うもんだ」
かぐや姫?」
と根子ちゃんが言うと竹林さんは笑った。
「私の名前、かぐやっていうんだ」

 

昔話等の二次創作の短編公募に出したけど特に何もなかったのでこちらに置いておく。一本目。元ネタは「かぐや姫