ぬかるみ小路に逸れる

文章の溜まり場所として使っていこうと思います(超不定期)

短文④

アンザレムは言いました。「おまえたちがいい子にしてたら最高のプレゼントをあげよう」

子どもたちはそれを聞いて喜びました。それから子どもたちは毎日いい子でいるようにしていましたがまず、3人の子どもの中の一人アンジュが脱落してしまいました。
かれにはいつもいくつかのアザがありましたが、アザはたえることはありませんでした。消えたと思ったらまた新しいアザがつくのです。
そしていつもアンジュは物置小屋にいました。外では子どもの声が楽しそうに聞こえてきますが、外には出してもらえませんでした。この日もお父さんに家で待っていなさい、と言われていましたが隣のおばさんが隙を見てアンジュを連れてともに家を出て遠くの町なで行ってしまいました。アンジュのお父さんはそのことを知ると激しく怒ってアンザレムに言いました。ワシの言うことを聴かなかったアンジュは悪い子である。
アンザレムはそう聞いて仕方なくアンジュをいい子から外しました。最高のプレゼントの代わりにかれにはふこうのプレゼントを与えました。


次に脱落したのは二人目の子どもヨハンでした。ヨハンは家の仕事だけでなく村の仕事も手伝うなどいい子でいましたが、あるとき村長の家に招かれるとヨハンはそこでひどい目にあいました。ヨハンはひどく怯えていましたが、それから何度も村長の家に呼ばれてはひどい目にあいました。それでもヨハンはアンザレムの言いつけを守りずっといい子でいるように黙っていましたが、ある夜村長の家に呼ばれたとき、ヨハンの家族も含めた村のありとあらゆる人たちがそこにいました。恐ろしい言葉を投げつけられたヨハンはその夜みんなが眠ったころに村の家々に、ヨハンの家にも火をつけてまわりました。一夜にして焼けた村がある、火をつけたのは子どもであるとアンザレムの耳に入ったのはそう遠くありませんでした。
アンザレムはその村に住む子どもがヨハンであると知っていたのでかれもまたいい子ではありませんでした。アンザレムは仕方なくかれにもふこうを与えることにしました。


最後に残った子どもはドゥオーザと呼ばれる子どもでした。かれは言葉が話せませんでしたが言葉は聞くことができました。
かれは踊りを踊る一族の子どもでした。かれが踊るとたちまち枯れた木々は蘇り渇いた大地には水が溢れ潤いがもたらされるので、王さまたちはかれを自分の手元に置きたがりました。ですので王さまたちはドゥオーザを手に入れるたたかいをすることにしました。6国のしょおうが戦いを始めたので国々は混乱しました。ドゥオーザは逃げ回っていましたが、先々で人々は口を揃えていっているのが聞こえました。ドゥオーザさえいなければこんないくさは起こらなかったのに。ドゥオーザはそれを聞いて、自分さえいなければみんなを救えると思いました。それがいい子であるように思いました。ドゥオーザはヤスラ谷の中に飛び込んでいきました。
ドゥオーザがいなくなったと消えて王さまたちおまえのために戦いをしてやったのだ、と口々に言ったので人々もそう思いました。ドゥオーザは人々を欺いた大罪人だと伝えられました。その後6王国はチャン・ハンガザ王国に滅ぼされ消えてしまいました。
アンザレムはドゥオーザからそのことを直接聞きました。ドゥオーザはいい子ではありませんでしたが、ふこうを与えることもできませんでした。ですのでアンザレムはドゥオーザに永遠に自分に仕えるように命じました。


ただ思いつきで書いた荒唐無稽な話